研究概要 |
角田太作は,7月に西オーストラリア州のキンバリー地区で,ワンジラ語とジャル語を中心に,現地調査を行なった。ワンジラ語については,テキストの文字化,その点検を主に行なった。更に,文法や語彙についても,資料を得た。また歌を録音して文字化し,その内容の点検も行なった。ワンジラ語,ジャル後も含めて,名付け,神話,社会史,など,文化的・社会的背景に関する資料も収集した。 松村一登は,ロシア・レニングラード州で話されるボート語他のバルト・フィン諸語の調査を行なった。また,バルト・フィン諸語の音声資料の文字化および,文字化されたテキストの電子化を行なった。 福井玲は,朝鮮語の慶尚道方言・全羅道方言について,音韻・アクセント・語彙・文法の調査を行った。また,言語資料の電子化と電子化された言語データの共有・交換の方法について調査を行なった。 この他に,日本国内において少数言語・危機言語の問題に関する関心が高まっている状況をふまえて,海外より共同研究者を日本に招き,日本の専門家と合同で,世界各地の少数言語・危機言語をめぐる言語事情・言語政策に関するシンポジウを計2回開催した。1回目は平成12年10月7日に「少数言語と言語政策-21世紀への存続に向かって-」というテーマで、バスク語、マオリ語、ブレイス語の専門家を海外から招聘し、それぞれの言語の現状に関する研究発表と討論を行った。2回目は平成12年10月21日に「少数言語・危機言語と言語学者の役割」というテーマで、フィンランドにおける言語状況と言語政策、アイヌ語、タイの少数言語、オーストラリアの原住民語に関する研究発表と討論を行った。
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