研究課題/領域番号 |
11691039
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
|
研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
谷 正和 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (60281549)
|
研究分担者 |
小林 正史 北陸学院, 短期大学, 教授 (50225538)
上野 登 宮崎大学, 名誉教授 (40040901)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | バングラデシュ / 地下水砒素汚染 / 文化生態系 / 農水産業 / 栄養 / 物質文化 / 雨水利用 / タイ東北部 / 社会組織 / 砒素汚染 / 沖縄 / 農業生産 / 食事調査 |
研究概要 |
本年度研究ではシャムタ村において、食事、農業、水産、畜産、物質文化、社会組織についての調査を行った。 低収入世帯では砒素中毒症状発症率が高いという関係の原因として、食事調査の結果、砒素中毒発症が高い世帯では、動物性たんぱく質の摂取が低いという結果が得られた。水産調査によると、魚を養殖するため池を持つ世帯は一部で、それらの世帯では魚が食用にされているが、それ以外の世帯では食用の魚を購入しているため、経済的な差が魚の消費量にも反映している。また、畜産調査の結果、ほとんどの世帯で家畜の育成を行っているものの、家畜は「貯蓄」的意味合いが強く、自家消費に回されることがほとんどない。その結果、肉類はほぼ全て購入され、世帯収入の差が消費量に反映している。つまり、低収入世帯でも、砒素中毒を予防できる動物資源はあるものの、経済的な余裕がないことから、それらの資源は砒素という環境ストレスに対応するための栄養源としては利用されず、その他の必要を満たすために使われている。一方、高収入世帯では、余剰経済資源を食物の質の向上に投資することができ、結果として砒素被害は軽微にとどまっている。 農業調査では分割相続制度のため、次第に農地が細分化されていき、農業労働者を使う耕作形態から、資本が蓄積しにくく、自律的農業経営の方向性が見えにくいことが明らかになった。物質文化調査では、村周辺の自然資源の利用率を調査し、家屋、家具、食物は村内自給率が高いことが分かった。砒素問題解決のため、現地の自助努力の主体となりえる組織については、バングラデシュ社会で多岐にわたる利用が行われている「組合」組織が最も適当ではないかとの知見を得た。 また、安全な水の供給対策としての雨水利用は、タイの東北部で常時雨水を飲料水として利用している村落での調査から、バングラデシュでも有効な代替水源となりえるという見通しが立った。
|