研究課題/領域番号 |
11691051
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (60148294)
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研究分担者 |
杉本 星子 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (70298743)
小林 勝 長崎純心大学, 人文学部, 助教授 (20269096)
川島 耕司 国士舘大学, 政経学部一部, 助教授 (60296811)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | キリスト教 / ミッション / 南アジア / ナショナリズム / カースト制 / インド / スリランカ / モーリシャス / レユニオン / マリア信仰 |
研究概要 |
本研究は、2年計画で行われた。この間、研究代表者・分担者4名全員により9回、のべ約10ヶ月にわたって現地調査を行った。調査地は、南インドのタミルナードゥ州、ケーララ州、スリランカ、およびモーリシャス、レユニオン、フランス本国のインド人社会に及んでいる。また、研究成果を持ちよっての研究会を3回開催し、成果の報告と討論を行った。その結果、南インドからスリランカ、インド洋西域におけるインド系住民の社会・文化にあたえたキリスト教の影響は、当然ながら決定的なものがありながら、一方で、当該社会における社会政治状況によって、それぞれ独自の展開を見せたことが実証的に明らかになった。とくに注目すべき点として、1)歴史的にキリスト教とカースト制との関係が極めて複雑であり、とくに理論上カースト制の存在を否定するキリスト教ミッションのがわが、現実にはカースト制を温存するかいなかをめぐって論争を繰り返していたこと、2)プロテスタント的キリスト教を媒介にして、仏教、ヒンドゥー教などの宗教的ナショナリズムがそれぞれの地域で独自の展開を見せたこと、3)宗教間相互の布置関係の中で、それぞれの宗教がたがいに影響を与え合い、きわめて複雑な様相を生み出していること、とくにマリア信仰が南アジア社会の女神信仰と親和的であり、宗教間の交流の有力な窓口になってきたこと、などが知見として明らかになった。これらの点は、本来のキリスト教文化が否定してきた側面をむしろ強化する結果となる逆説的な現象であるということができる。これによって、キリスト教を媒介とした「文明化のパラドックス」を鮮明に実証することができたものと考えている。本助成による研究の成果は、報告書としてまとめられたとともに、また単発の論文としても順次刊行される予定である。
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