研究課題/領域番号 |
11691052
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
久保 正敏 国立民族学博物館, 博物館民族研究部, 教授 (20026355)
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研究分担者 |
杉藤 重信 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (70206415)
金田 章裕 京都大学, 文学部, 教授 (60093233)
小山 修三 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (70111086)
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
鎌田 真弓 名古屋商科大学, 商学部, 助教授 (20259344)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
2000年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1999年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | 土地権の制度化 / アーカイブス資料 / マクロ分析 / 下部構造 / 観光開発 / 先住民運動 / 対アボリジニ政策 / 自主決定政策 / アーカイブ資料 / 下部構造の変化 |
研究概要 |
オーストラリア・アボリジニ居住区内の社会は、狩猟採集漁労の生業と重層的神話体系に基づく「伝統的」生活を送ってきたが、この20年は、社会組織や文化伝承の枠組みに大きな変化が見られる。これは、自主決定政策や多文化主義の採用、先住民土地権の制度化など諸政策の変化、それに伴うモノ・カネ・技術・情報の流入によって生じたアボリジニ社会下部構造の変化に、アボリジニ側が呼応した結果である。本研究は、従来研究分担者たちが進めてきた個々人を対象とするミクロな民族誌的記述・分析に、行政資料調査を中心とするマクロな政治・経済的分析を加えて総合化し、かつ、この作業を植民政策に関わる歴史資料にまで遡って通時的に展開して、対先住民政策とアボリジニ社会・文化の相互作用を、歴史的・文明史的・計量的に明らかにするのが目的である。 本研究では、1978年まで連邦政府の直轄下にあったノーザンテリトリ内に1962年、人工的に作られた町マニングリダ(MGD)に注目し、同町に関する貴重な資料として、1969年に法人化されたMGD Progressive Association(MPA)の議事録、MPAが創設の母胎となり1969年-1974年まで刊行された町内新聞MGD Mirage、およびその後身であるGobalgu Jurra(1977年-1998年)、そしてアウトステーション支援機関として1979年に法人化されたBawinanga Aboriginal Corporationの議事録、等を収集した。これらは、第二次大戦後の同化政策から統合政策、自主決定政策と変化する対アボリジニ政策が末端のアボリジニ・コミュニティでどのように実施され、それがコミュニティの社会や文化にどのような影響を及ぼしたかを生々しく伝える資料である。これらと、別途入手した各種の関連政策資料とを付き合わせながら、マクロな政策とミクロな生活誌の相互作用の分析を行ってきた。その中から、二大政党制度のもと、政権交代に伴う政策変更がコミュニティ現場の内部対立を顕在化させ、それがアボリジニ内部の文化的・政治的運動を引き起こすこと、それがまた中央政府の政策とも相互作用すること、と言ったダイナミズムが明らかとなった。 同時に本研究では、収集した資料をデジタル化・データベース化し、関係機関・現地と共有することも目的としており、近々、分析結果の公刊とともに、CD-ROMを作成・配布する予定である。
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