研究概要 |
1 研究代表者および共同研究者であるペルー国立サンマルコス大のロメロ氏を中心として、ペルー中部太平洋岸の沿岸生態系の調査を1999年から2001年にかけて行った。ロメロ氏は同大のコルドバ氏と協力してパラカスおよびアンコン地域の継続調査を担当した。南半球の夏である2000年1月-2月と2000年12月-2001年1月には研究代表者を中心として集中的な調査をおこなった。また、2000年2月-3月と2001年2月-3月にはロメロ氏が九大天草臨海実験所に滞在し、データ解析の作業を行った。 2 本研究の重要な対象生物である2種の捕食性ヒトデにつき,個体群変動に関する基本的なデータがほぼ出そろい,探索的な初期解析(exploratory analysis)をおこなった。2種によって年変動および季節変動のパターンが違っていることが明らかにされた。特にH.helianthusのほうはエルニーニョの年を含めて10年にわたり密度の減少傾向を示していることがわかった。これに対し、S.striatusは増加傾向を示しており,秋から冬にかけて季節的なピークがおこることが確認された。 3.空間占有者としての二枚貝類(イガイ類)は,捕食者であるヒトデ類とは異なった変動パターンを示すことがデータの一部から覗えた。イガイ類の被度の増加は、ある程度エルニーニョ現象と関連していることが示唆された。イガイ層をハビタットとする多毛類群集に関する解析をおこなった。 4 ペルー中部地方の水温に関する長期データをアメリカ海洋大気局より入手し,海洋動物の動態解析に組み込むためのデータベースを作成した。また、G.grapsusの個体群動態および捕食生態に関するデータを得た。
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