研究概要 |
最終年度の学術調査は平成13年6月30日から7月7日まで、モンゴルのヘンテイ山系の永久凍土の森林火災地などで行った。前年,埋設したヒートパイプの3地点を中心に,前年に引き続いて植生調査,温度データの回収,土壌調査などを行った。各2地点で,3時間毎に1年計測したデータは完全に記録されていた。しかし、ナライハ草原の温度回収は失敗した。今年の冬は極めて低温であったが、分析結果,ノイズの除去に手間がかかったが、昨年度と同様に森林火災地の気温は,永久凍土地より冬期の最低温度は低かった。ヒートパイプの直下を除いて、6月下旬まで凍土状態を維持させたが,その後はいずれも融解してしまった。この原因は土壌水分が極めて少ないためであった。ヒートパイプで充分地温低下できることから土壌水分を捕獲する対策が必要である。土壌のpHは森林火災地の方が高く,有機物含量も増加傾向にあることが分かった。したがって、表層にリターなどの蓄積が必要であるが、森林火災地表層に吸水性ポリマーを混入できるならば、ヒートパイプの効果が期待できることが結論付けられた。2年間の計測では、不十分であるがヒートパイプの直下がマイナスであることから、今後凍土が拡大する可能性もある。
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