研究課題/領域番号 |
11691186
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生物資源科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荒木 茂 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00158734)
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研究分担者 |
山口 淳一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80001478)
水野 啓 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助手 (10260613)
伊谷 樹一 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (20232382)
大山 修一 東京都立大学, 理学部, 助手 (00322347)
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
小泉 真理 秀明大学, 国際協力学部, 専任講師 (20290992)
今井 一郎 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50160023)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
24,440千円 (直接経費: 22,700千円、間接経費: 1,740千円)
2001年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2000年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1999年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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キーワード | アフリカ / 在来農業 / 人口扶養力 / 持続性モデル / GIS / 土地利用 / 衛星画像解析 / 土地制度 / 土地所有制度 / 人工扶養力 / 衛星写真 |
研究概要 |
本研究は、中・南部アフリカ(ザンビア、タンザニア)にみられる在来農法の特質を、生態環境、農業技術、社会システムの3つの観点から総合的に明らかにするとともに、この3視点から各地の在来農法を比較検討することによって、在来農法の成立基盤とその潜在力、過去、現在、未来にわたる変容を視野に入れた在来農法のモデルを構築し、各地域において持続的な農業システムがもつべき条件をあきらかにすることを目的とした。 調査地は、(1)タンザニア・ビクトリア湖西岸(ブコバ)、タンザニア南部高地((2)マケテ、(3)トゥクユ、(4)ボジ地域、(5)ザンビア北部(ムピカ)、(6)ザンビア北西部(カセンパ)、ザンビア西部ザンベジ氾濫原(モング)の7地域が選定され、それぞれ専門分野を異にする複数の研究者の共同調査という形で行なわれた。 (1)ブコバでは、永年バナナ栽培園(キバンジャ)の分布と利用が詳細に調べられた。その分布は土層の厚さと関係があり、厩肥、草の投入によって有機物の蓄積、土壌酸性の改良がみられること、バナナの乾物生産量はバイオマスの測定から、年間1.8-4.8tにおよぶことなどが明らかとなった。人口密度が400人/km^2をこえる当地域では、相続によるキバンジャの細分、草地耕作の比重の増大、バナナの商品作物化など、農民の生存戦略の多様化がみられ、土地の再配分を含んだ、資源の有効利用が必要であることが明らかとなった。 (2)タンザニア南部高地(調査地(2)、(3)、(4))では、シコクビエを中心とした数々の在来農法がみられ、それらは山地斜面における植生によって特徴づけられること、また共同体の労働によって支えられていることが明らかになったが、民族によるキリスト教の受容過程の違いによりその形態は異なっていた。 (3)ザンビア北部におけるチテメネ焼畑村の20年間の変遷は、商品作物としてのトウモロコシ栽培の浸透と,構造調整政策後の焼畑への回帰によって特徴づけられた。それはチテメネによる自給を基本としながら、自然、社会の環境変化に柔軟に対応する農民の主体的選択にもとづいていた。この間における地域の人口密度はほぼ一定で、1-25人/km^2の範囲にあり、チテメネによる人口扶養力は10人/km^2と評価された。 (4)ザンビア西部のザンベジ川氾濫原では、季節的氾濫をもとにした畑の使い分けと牛の移動が基本となっており、氾濫原という生態環境が、農業・牧畜・漁業複合を、さらにはかってのロジ王国を中心とした多民族共生社会を成立させていることが明らかとなった。 これらの成果をもとに、在来農法のモデルを検討した結果、以下の諸特徴が明らかとなった。i)中・南部アフリカの在来農業は、利用しうる資源(生態環境)に大きく影響をうけており、それが人口偏在の基本的要因となっている。ii)各地にみられる内在的変化は、人口増加→環境悪化というパラダイムでとらえることはできず、社会・経済プロセスを含んだ「人の暮らし方の変化」の影響力が強い。iii)各地の在来農業には集約度に違いがみられるが、これらは手持ちの技術の範囲で潜在力を最大化させた結果であり、社会経済改革によって潜在力をさらに伸ばすことが可能である。
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