研究分担者 |
荒井 修亮 京都大学, 大学院・情報学研究科, 助教授 (20252497)
佐藤 克文 国立極地研究所, 研究系, 助手 (50300695)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80017087)
綿貫 豊 北海道大学, 農学部, 助教授 (40192819)
加藤 明子 国立極地研究所, 研究系, 助手 (80261121)
|
配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1999年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
|
研究概要 |
近年,深度記録計が開発されることにより,肺呼吸動物の潜水行動に関する研究が飛躍的に発展した.多くの動物が,有光層よりも深い深度まで,長時間息ごらえ潜水する能力を有する事が明らかとなった.これらの結果は,新たな科学的疑問を喚起する.動物達はいかにしてこの深くて長い潜水を達成しているのだろうか?何故,動物達はそんなに深く潜るのだろうか? これらの疑問に答えるために,本プロジェクトにおいて新たにいくつかの測定技術が開発された.加速度記録計により,動物の潜水行動のより詳細な記録が可能となった.また,食道温度を測定する事により,捕食のタイミングを測定できることがわかった.地磁気データロガーによって動物の遊泳進行方角を記録できる様になったが,この情報は水中の3次元潜水軌道を計算することに用いられた.さらに,ウェッデルアザラシに静止画像記録計を装着する事により,動物周辺の餌分布状況に関する画像情報が得られるようになった. 野外実験は亜南極域のクロゼ島(キングペンギン),南極昭和基地周辺(アデリーペンギン,ウェッデルアザラシ),デュモンデュルビルフランス南極基地(アデリーペンギン),マクマードアメリカ南極基地(ウェッデルアザラシ)において行われた.いくつかの興味深い結果が得られたので,その一例を挙げる.加速度記録計を用いることにより,キングペンギンとアデリーペンギンは,沈降時のみ強く羽ばたき,浮上の際は,フリッパーの動きを停止して,浮力のみを用いて浮上することがわかった.バイオメカニクスモデルを用いた解析により,体内に保有する空気量のみでこの受動的浮上に必要な浮力をまかなうことが出来る事がわかった.浅い潜水と深い潜水で,保有空気量を比較したところ,潜水深度と空気量の間に正の相関があることがわかった.これは,鳥が潜水深度に応じて最適な空気量を事前に調節していることを示唆している.
|