研究分担者 |
新保 慎一郎 京都女子大学, 短期大学部, 教授 (60027406)
猪口 尚子 宮城大学, 看護学部, 助手 (30305346)
中塚 晴夫 宮城大学, 看護学部, 教授 (70164225)
張 作文 日本学術振興会, 特別研究員
池田 正之 (財)京都工場保健会, 研究部長 (00025579)
ZHANG Z,-w Department of Food and Nutrition, Kyoto Women's University, Special research fellow
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研究概要 |
北東アジア地域として2年間に中国の2省と韓国の1省(道)で,各々で省都と近隣の農村部を対にした2地区で住民の協力えて調査を実施した。一番目が平成11年9月に中国吉林省の長春(省都)と近隣の農村,二番目が平成12年5月末に中国湖南省の長沙(省都)と近隣の農村,三番目は平成12年9月に韓国済州道の済州市と近郊農漁村といずれも米飯を主食としている。対象者は中国の各地区が50名,韓国は都市部33名と農村部34名で合計で268名。調査は食事調査,尿試験,身体・血圧測定,血液調査を行った。調査器具・器材は全て日本から携帯した。食事調査は陰膳法により対象者の一日の全飲食物を採集。中国では一日尿も採集した。食事の他に各家庭別に飲料水と米,ごはん,小麦粉,とうもろこし等の主要な穀類と豆類を採集した。食事調査は中国および韓国の各地の共同研究者と栄養部門のスタッフが食品の分別・秤量・記録を担当。食事,血液および尿の各検体は凍結して持ち帰り,現在凍結保存および微量元素分析に供している。栄養摂取量は各国食品成分表で算出。健康調査と栄養調査結果は検査所見を添えて各個人に報告。鉛,カドミウムの測定はICP-MS装置等で行った。 調査結果:1)鉛摂取量は中国吉林省,湖南省および韓国済州道の各都市別に13.2,33.0,13.0ug/day(GM,幾何平均値)であり,対応する農村部は14.5,49.8,17.9ug/dayである。血中鉛濃度は都市部が75.2,70.0,23.8ug/l(GM)に対して農村部は各々74.1,91.4,24.7ug/lである。2)カドミウム摂取量は吉林省,湖南省,済州道の各都市別に8.9,30.2,16.0ug/day(GM),農村部は5.3,66.3,18.7ug/dayである。血中カドミウム濃度は各都市別に0.73,1.75,1.26ug/l(GM)となり,農村部は1.05,2.62,1.42ug/lとなっている。 都鄙の比較では鉛,カドミウムともに農村部は都市部よりも高値を示す。中国と韓国の間では,鉛が中国で高値を示し,とくに血中鉛の相違は大である。カドミウムは湖南省の特に農村の摂取量,血中濃度がともに顕著な高値を示し,これまでのアジア地域の結果と比較してもかなり高い。従って,その背景についてさらに詳細な検討が必要である。
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