研究課題/領域番号 |
11691222
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
飯野 四郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30010309)
|
研究分担者 |
折戸 悦朗 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60204294)
溝上 雅史 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40166038)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
2000年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
|
キーワード | TTウイルス / genotype / 地理的分布 / 慢性肝疾患 / 肝細胞障害性 / Genotype / 肝炎ウイルス |
研究概要 |
非A・非G型輸血後肝炎患者から発見されたTTウイルス(TTV)は、その世界的な拡がりや、肝疾患との関連性については、まだ充分検討されていない。今回われわれは。このTTV感染を中心として、さらにそれ以前に発見されているG型肝炎ウイルスおよびGBウイルスC(HGV/GBV-C)の感染状況も、HCVやHBVの感染とともに比較検討した。アジア地域でのTTV感染状況では、一般供血者では韓国は14%、中国では11%、モンゴルでは43%が陽性であった。肝疾患患者での陽性率では、韓国が18%、中国が24%、モンゴルが60%で、欧米では29%であった。また、中国南西部での静注麻薬蔓延地区では20%であった。しかし、これらの陽性率は、その後のさらに高感度なprimerを用いるとかなりの高率となり、欧米では初期のprimerでは29%が陽性であったが、高感度primerでは71%が陽性となった。したがって、感染率を調査するにあたっては、どのprimerを用いるかが重要な問題となった。一方、TTV感染と肝疾患との関連については、病態の進展度、GPTとの相関、肝組織所見のどれを比較してもTTV感染の有無とは関係が見られなかった。さらに、TTV DNAをリアルタイムPCR法にて定量し、GPTとの相関も検討したが、関連は見られなかった。しかし、特定のgenotypeを検出するprimerを用いた検討では肝疾患との関連が必ずしも否定できないとの報告もあり、今後のさらなる検討が必要と思われた。また、GBV-C感染については、米国でのC型慢性肝炎患者での検討では9.7%が陽性が陽性であったが、肝機能やインターフェロン(IFN)治療効果になんの影響もあたえなかったことがしめされた。また米国での腎移植前後の慢性腎不全患者においても同様に臨床的意義は認めなかった。また、GBV-CのNS5領域にHCVで見られるIFN感受性決定領域と相同な領域のアミノ酸変異数とIFN治療効果を検討したが、関連は見られなかった。さらに、HCV感染については、韓国都市部近郊地域での感染状況を検討したが、5.5%が陽性で都市部より高率に陽性であり、その原因は針灸などの民間療法が大きく関与していると考えられた。また米国CDCとの共同研究により、HCVを12年間慢性感染されたチンパンジーから得られた配列の解析によって、感染初期にはより高率に変異が起こり、宿主の免疫から逃れようとするメカニズムの1つが明らかにされた。以上からTTV,GBV-Cには肝疾患との関連性はあまり認められず、HCV,HBV感染が依然として重要であることが示された。
|