研究概要 |
mRNAの塩基配列に従ってポリペプチド鎖を正確に伸長して蛋白質を合成する細胞内小器官リボソームは,大小2つのサブユニットから構成される核酸蛋白複合体として機能している.原核生物の場合3個のrRNAと50数個の蛋白質からなる.本研究では,リボソームの最も重要な活性センターであるペプチジル転移活性センターに存在する蛋白質を中心に構造解析を行うと同時に,リボソームの結晶化を目指して,数種の好熱菌リボソームの精製を行った.研究期間中に構造解析に成功したリボソーム蛋白質は,L2(EMBO J.18,1459-1467(1999)),L5(RNA印刷中),それにL13(投稿準備中)である.リボソーム蛋白質L2は,50数個あるリボソーム蛋白質の中で最も大きく,また,ペプチジルトランスフェラーゼ活性センターの近傍に存在し,その活性にとって不可欠の要素であることなどから,最もよく研究されてきた蛋白質のひとつである.私たちは,Bacillus stearothermophilus L2(分子量30Da,275アミノ酸残基)のRNA結合ドメインと推定された中央の142残基(60-201)について,結晶化に成功し,その構造を決定した.一方,L5は5S RNA結合蛋白質であり,また,L13は,23SRNAの初期会合に関与する蛋白質である.
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