研究概要 |
地震観測については,IZINETとよんでいる観測網を設け,微小地震活動モニターを行っていた.この観測網の中で,1999年8月17日にイズミット地震(M7.4)が発生したため,まず本震の震源を精度よく決定できた.こうして求めた震源データは重要で,世界の多くの研究者に利用されている.また,臨時余震観測点を増設し,余震観測を行った.その結果,余震は地表に現われた地震断層および既存の北アナトリア断層に沿って東西に帯状に分布していることを突き止めた.また,余震の起こり方が空間的に不均一であり,いくつかのクラスターが見られることも発見した.この余震データも重要な研究成果として世界の研究者から引用されている.イズミット地震発生数年前のデータの解析から,本震付近で群発的地震活動が間歇的に発生していたことも明らかにした.さらに,本震のメカニズムと余震分布から,イズミット地震の震源域西方延長部での今後の大地震発生の可能性を検討し,ポテンシャルの高い地域を予測した.地磁気・地電流観測については,地震発生時前後の記録が震源域近傍の4観測点で取得でき,これについても世界の研究者から注目されている.その結果,地震時の電磁場変動がはっきりと記録されており,地震ダイナモ効果という新しい説を提唱した.さらに,地震と地磁気・地電流同時観測を行い,この説の検証を行った.地震発生前の記録も得られており,前兆現象発見への期待がもたれたが,現在までのところ,明瞭な異常は見つかっていない.さらに,震源域の深さ20Kmまでの比抵抗構造を求め,断層近傍の深部に非常に比抵抗の高い領域が広がっていること,本震の震源がこの中に位置していること,余震もまたこの領域で発生していることなどを明らかにした.このように,イズミット地震に関連する諸現象,及び活断層深部不均質構造と地震発生との関連について,貴重な成果が得られた
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