研究分担者 |
蔵重 久弥 神戸大学, 理学部, 助教授 (20205181)
森田 洋平 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助手 (00212267)
佐々木 節 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助手 (50259983)
浅井 慎 広島工業大学, 電気工学科, 助教授 (40192926)
吉田 肇 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (10111775)
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研究概要 |
本研究の目的は、LHCアトラス実験において物理データ解析手法開発の基礎となる測定器精密シミュレーターを,汎用測定器シミュレーションツールキット(Geant4)をもとに設計実装し,実験データと比較することで,このシミュレーターの正当性を確立することである.平成11年度は,シミュレーターに組み込まれている電磁シャワー計算プログラム正当性をATLAS実験の電磁カロリメーターの実験データを使い評価した.平成12年度は,ミューオン検出器とハドロン・カロリメーターの実験データを使い,シミュレータに実装されているミューオン相互作用プログラム,ハドロンシャワー計算プログラムをデータ再現性の観点から評価した.評価手順は基本的に共通で,先ず,ビーム試験で取得されている各測定器応答データの保存形式を設計実装し,この保存形式に従い,ビーム試験データを保存した.次に,テストビーム実験用測定器の幾何学形状及び粒子応答プログラムをシミュレーターへ実装した.このシミュレーターを用いて,各測定器のの粒子応答シミュレーション・データの大量生成を行い,それを生データとみなし、エネルギー損失分布,エネルギー分解能等をもとめ,その計算結果と実験データとの比較し,シミュレーターの実験データ再現性を評価した.電磁シャワー計算に関してはそのカロリメターのエネルギー損失分布,エネルギー分解能が再現できることを示した.ミューオンに関しては,測定器中でのエネルギー損失,及び多重粒子生成をシミュレーターが測定精度内で良く再現することを実証.また,ハドロンカロリメーターに関しては,実験データのノイズ混入を考慮するとエネルギー損失分布をGeant4シミュレーションが良く再現することを示した.エネルギー分解能に関しては,Geant4は実験データと完全に一致しないことが判明した.これに関しては不一致の原因究明が今後の課題である.
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