研究概要 |
可視波長域小型超短パルス光源に関して、1)LiNbO3導波路擬似位相整合非線形光学波長変換デバイス,2)希土類添加LiNbO3導波路レーザ,3)グレーティング集積高出力半導体レーザの研究を行い,次のような成果を得た. 1.大阪大学より研究者を派遣し,スタンフォード大学において,次のような成果を得た.(1)デバイス長長尺化による高効率波長変換デバイス作製を試みた.作用長5.55cmのデバイス作製に成功し,規格化和周波発生効率2800%/Wを達成した.このデバイスを用いた,低制御光パワーで動作可能な全光スイッチを提案,実現した.(2)導波モード分布を制御し,相互作用する光波の重なりを増強することで非線形光学波長変換デバイスの高効率化を図った.通常のアニール・プロトン交換導波路作製後の結晶をプロトン欠乏溶融塩中に浸すことで逆プロトン交換が生じ,導波モードを制御できることを見出した.プロセスの精密な制御のために,逆プロトン交換シミュレーションモデルを新規に検討した. 2.希土類添加LiNbO3導波路レーザと擬似位相整合非線形光学効果素子を集積化するため,まず,(1)希土類添加LiNbO3上分極反転グレーティング作製技術確立を目指した.SiO2膜堆積後に希土類を熱拡散添加すれば,熱拡散時の不要な分極反転層形成を抑制し,その後の電圧パルス印加で分極反転グレーティングが作製できることを見出した.(2)この技術を用いて,内部共振擬位相整合第2高調波発生型Nd熱拡散LiNbO3導波路レーザを作製した.波長814nmの励起光入力に対し,波長1084nmのレーザ発振光と,内部共振第2高調波発生による波長542nmの可視緑色光が得られた.これにより,希土類添加LiNbO3導波路レーザと擬似位相整合非線形光学波長変換の一体集積化技術が確立できた.
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