研究分担者 |
鎌田 一雄 宇都宮大学, 工学部, 教授 (80016609)
渡辺 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
福田 友美子 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 室長
城間 将江 国際医療福祉大学, 助教授 (80285981)
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研究概要 |
声の高さで伝えられる分節的な特徴は,音韻的な特徴と組み合わさると,音声の認識に重要な役に立つ.音声波の基本周波数の伝達の品質は,人工聴覚(人工内耳Artificial inner ear, Cochlear implant^*)の装置の音声処理部の設定にかかっているので,声の高さの弁別能力を詳細に測定して,これをできる限り活用することが必要になる. (^*音声波を電気的な信号に変換して,内耳に埋め込んだ電極を通して,直接に聴覚神経に伝える方式) このような目的のために,人工内耳を通しての声の高さの弁別能力の検査と訓練をする計算機援用教示(CAI, Computer assisted instruction)システムを設計した.このシステムは,計算機プログラムによる音声合成(ATRのSTRAIT)を利用していて,声の音源の基本周波数や強度や持続時間などの音響的パラメータを制御することができ,刺激を応答の履歴に応じて効率良く提示できる. 刺激となる合成音声の声の高さの時間的な変化パタンを,このような分解能で制御するパラメータは,平均の声の高さ,声の高さの範囲,声の高さのパタンの相互の対比,速さである. 刺激は被験者に,聴覚だけで,または視覚表示も併せて提示できる.刺激に対する弁別(同定/比較)の応答は,口頭またはタッチスクリンなどで報告できる.刺激の合成音声の声の高さのパタンを修正して,誤答のあとでは次の刺激の弁別が同じか易しくなるようにし,正答のあとでは難しくなるようにする. 制御パラメータの組み合わせの提示の順序は,保存してある被験者の応答の履歴に応じて選択して,信頼できる検査結果や訓練目標の達成までのステップ数が最小になるようにする. 本研究は、人工内耳の試用効果について、研究代表者・分担者がそれぞれの役割分担の研究を進め、それにもとずいて討議を重ねてきた結果、最終的に問題点を声の高さの情報に絞って、とくにアジアの諸言語の特色である日本語の単語アクセントと中国語の声調を対象として,システムの設計をした。 この過程では国外の研究協力者との共同作業も行い、今後、上海医科大学と香港中文大学と国立台湾大学でシステムの試用実験を計画している.
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