研究課題/領域番号 |
11694240
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
荻野 利彦 山形大学, 医学部, 教授 (60109436)
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研究分担者 |
高木 理彰 山形大学, 医学部・付属病院, 助教授 (40241707)
SANTAVIRTA Seppo University of Helsinki, Orthopaedic Surgery and Traumatology, Professor
井田 英雄 Yamagata University School of Medicine, Orthopaedic Surgery, Associate Professor (40184600)
KONTTINEN Yrjo University of Helsinki, Internal Medicine, Professor
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
小林 真司 山形大学, 附属病院, 助手 (60312740)
武井 寛 山形大学, 附属病院, 助手 (40292437)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
15,610千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 1,410千円)
2001年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2000年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1999年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | 人工関節 / 生体親和性 / 骨溶解 / 弛み / 骨吸収 / 骨形成 / Matrix Metalloproteinase / Cytokine |
研究概要 |
人工関節周囲に生じる骨溶解機構を解明するために、ヒト検体およびラットモデルを用いて、インプラント周囲に生じる生体反応について形態学、生化学、分子生物学的手法を用い、骨、肉芽、組織、関節液の検討を行った。弛緩人工股関節周囲の骨組織周囲には、成熟石灰化骨量の有意な減少と低石灰化骨量・類骨量,類骨面、吸収面、破骨細胞面、骨石灰化面の増加と骨石灰化速度の亢進が認められた。介在部の肉芽組織には、核酸レベルでの解析では、MMP-1、-9、-13、-14、-15、-16、-17、TIMP-1,-2,-3の過剰発現が明らかとなり、周囲滑膜組織では、神経ペプチド(PGP9.5とGAP43)の線維性の分布が観察された。弛緩人工股関節の骨インプラント境界面にはCathepsin K, TRAP陽性の破骨細胞が骨吸収窩を形成し、充分に石灰化した骨基質の分解が生じていることも明かとなった。一方、境界面には、破骨細胞性骨吸収面以外に、マクロファージ系CD68陽性の細胞が存在し、cathepsin K, TRAPも共に陽性だった。この境界面では、骨吸収窩を形成せず、骨基質の吸収を示唆する所見が得られた。境界面のpH測定では、弛緩人工股関節の骨表面のPHが生理的中性域から酸性域に有意に低下していた。関節液の解析では、IL-1 betaとM-CSFの有意な増加が蛋白レベルで明らかにされた。この関節液をマウス骨髄培養系に添加すると、著しいTRAP陽性の破骨細胞の誘導が観察された。培養系における破骨細胞形成は、OPGの添加によって完全に阻害され、OCIF-OPGシステムを介した破骨細胞分化・誘導能がインプラント周囲の病的骨吸収に関与することが明かとなった。一方、骨吸収窩の形成のないマクロファージ系の細胞が,骨組織に接し、脱灰を行っている所見が観察された。骨インプラント境界面のpHが生理的中性域から酸性域に低下していたこと、また、マクロファージ系の細胞が酸性領域で骨基質分解能をもつcathepsin K陽性であったことから、破骨細胞への完全な分化と骨吸収窩の形成がなくても、病的骨吸収が生ずる可能性も示唆された。以上の結果から、弛緩人工股関節周囲の骨吸収機構には、破骨細胞性、非破骨細胞性の細胞動態の関与する特異な骨病態があることが明らかとなった。
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