研究課題/領域番号 |
11694254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
白形 正樹 (2000) 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70251551)
平井 莞二 (1999) 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00100991)
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研究分担者 |
川口 寧 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (60292984)
ROIZMAN Bernard The University of Chicago, The Marjorie B.Kovler Viral Oncology Laboratories, Professor.
白形 正樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70251551)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | HSV / ICP0 / BMAL1 / ORFP / ORFO / BMALI / 潜伏感染 / 再活性化 |
研究概要 |
本年度は以下の結果を得た。 1.HSV ICP0と相互作用する宿主細胞因子のさらなる検索を行った。その結果、bHLH-PASスーパーファミリーに属する宿主転写因子BMAL1と相互作用し、転写を活性化することが明らかになった。また、ICP0欠損ウイルス感染細胞中においてはBMAL1の発現が野生株に比して低下していることより、ICP0はBMAL1と相互作用してBMAL1の発現を安定化していることが示唆された。bHLH-PASスーパーファミリーに属する転写因子は、細胞外のストレス応答を制御していることが知られている。HSVは主にストレスによって再活性化することが知られている。再活性化を制御するICP0が細胞のストレス応答を制御する宿主細胞転写因子BMAL1と相互作用することは、この相互作用がHSVの再活性化において何らかの役割を果たしていることを示唆している。 2.HSVが潜伏感染している神経細胞節においては、latency associated transcript(LAT)と呼ばれるウイルス転写物のみが発現している。当研究グループは、過去に、LATが転写されるウイルスゲノム領域に存在する2つのORF(ORFP、ORFO)の存在を報告した。また、ORFPが宿主スプライシング因子p32と相互作用し、HSVにおいてはめずらしくその転写物がスプライシングされるICP0、ICP22の発現を抑制すること、ORFOがウイルスの主要制御因子であるICP4と相互作用し、ICP4のDNAへの結合を阻害することによってICP4の機能発現を抑制することを報告している。これらの知見は、ORFP、ORFOがウイルス遺伝子発現カスケードの最初のステップであるICP4、ICP0、ICP22の発現または機能を抑制することによって潜伏感染の維持に関与していることを示唆している。本研究では、この仮説を検証するために、ORFPおよびORFOを欠損した組み換え変異ウイルスを作製し、マウス動物モデルを用いてその潜伏感染能を野生株と比較した。その結果、ORFP、ORFOを欠損した変異ウイルスは潜伏感染能は有するものの、野生株と比して潜伏感染能および再活性化効率が低下していることが明らかになった。以上より、ORFPおよびORFOは潜伏感染には必須ではないものの、効率的な潜伏感染制御に大きな役割を果たしていることが明らかになった。
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