研究課題/領域番号 |
11694268
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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研究分担者 |
木内 哲也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303820)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部, 教授 (50193628)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2000年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1999年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 小腸移植 / 拒絶反応 / マイクロスフェアー / drug delivery system / 高解像ズーム内視鏡 / 免疫組織化学染色 / 慢性拒絶反応 / FTY720 / 高解像度内視鏡 / 免疫組織染色 / タクロリムス / 局所免疫抑制 / 灌流保存液 |
研究概要 |
臨床小腸移植における免疫抑制剤の主剤であるタクロリムスを高分子化合物のマイクロスフェアーに含有させ小腸パイエル板に特異的に取り込ませることにより、腸管局所の免疫抑制剤濃度を高めるDrug Delivery System(DDS)を開発した。ブタ同所性小腸移植拒絶反応モデルにおいて、タクロリムス含有マイクロスフェアー(0.04mg/kg)を経口投与すると、平均血中濃度は10.5ng/mlと低値であったが、拒絶反応も感染症も認めず、平均生存期間は有意に延長した。 臨床の小腸移植においては、生体小腸移植(本邦3例目)と脳死小腸移植(本邦1例目)を行い、移植小腸粘膜の高解像ズーム内視鏡検査と病理組織学検査(免疫組織化学染色)による拒絶反応の早期診断の研究を行った。高解像ズーム内視鏡検査では、通常の内視鏡では判別できない絨毛丈の低下と単位面積あたりの絨毛数の減少の所見が得られ、拒絶反応の初期の段階の診断に非常に有用であることが判明した。さらに、生検腸粘膜組織の免疫組織化学染色を行い、アポトーシス誘導性ケラチン断片の増加、FasL陽性リンパ球の出現、perforin,granzymeBの陽性所見、小腸粘膜細胞におけるKi67の陰性化などが、さらに軽微な拒絶反応の初期の段階の診断に有用であることが判明した。以上の拒絶反応モニタリングを駆使して、拒絶反応を極めて早期に診断できたため、免疫抑制療法の微調整により拒絶反応を安全にコントロールすることができ、感染症を合併することなく上記2症例の経過は極めて順調である。2症例とも移植された小腸からの栄養吸収は良好であり、中心静脈栄養から完全に離脱できており、今後の臨床小腸移植の成績向上が期待できる。 海外施設との共同研究においては、小腸移植における慢性拒絶反応に対する新しい免疫抑制剤FTY720の効果に関する検討を、ラット小腸移植モデルを用いて行ってきた。移植小腸の動脈内膜肥厚が生ずる慢性拒絶反応モデルを作成し、FTY720とサイクロスポリンとの併用投与で動脈の肥厚が完全に抑えられた。治療の困難な慢性拒絶反応に対して、FTY720を用いた免疫抑制療法が期待される。
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