研究分担者 |
冨永 洋平 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90304823)
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50211933)
古市 正人 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70199420)
續 輝久 九州大学, 大学院・医学系学府, 教授 (40155429)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
生物にとって,その遺伝情報を担うゲノムDNAを細胞から細胞へ,親から子へと正確に伝え維持することは最も基本的な生物学的機能であるが,ゲノムDNAやその前駆体であるヌクレオチドは,酸素呼吸の過程で必然的に発生するスーパーオキシドや生体防御のために生体が能動的に産生する一酸化窒素(NO)などのフリーラジカルによって酸化される危険に常に曝されている.フリーラジカルに曝されたDNAやヌクレオチドプール中には種々の塩基あるいはヌクレオチドの酸化体が生じるが,このような酸化的DNA損傷は修復されないと突然変異を引き起こすことで細胞のがん化の原因となり,あるいは細胞死を引き起こすことで脳・神経変性疾患など多くの変性疾患の原因になると考えられる.本研究では,フリーラジカルによる増殖性細胞の障害として「がん」に,また非増殖性細胞の障害として「神経細胞死」に注目し,「フリーラジカルによる細胞傷害に対する防御機構」の解明を目指した. DNAの酸化損傷の中でもプリン塩基(アデニンとグアニン)の酸化体,8-オキソグアニン(8-oxoG)と2-ヒドロキシアデニン(2-OH-A)による細胞の傷害とその防御機構の解明を目的として,酸化プリンヌクレオチドのDNAへの取込みを抑制する酵素とDNA中に取り込まれた酸化プリンあるいはDNAの直接酸化によって生じた酸化プリンの除去修復に関わる4つの遺伝子(Mth1,OGG1,MYH, APE2)を同定し,その産物の機能解析を進めた.その結果,それぞれの遺伝子欠損マウスの解析から,核酸の自然酸化が突然変異を引き起こして発癌の原因となることを明らかにした.さらに,ヒトの脳神経変性疾患病変において酸化塩基の蓄積とともにこれらの防御酵素群の発現異常が認められるケースを複数例見出した.この事実は,脳神経細胞の変性死に核酸の酸化損傷が関わる可能性を示唆する.
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