研究概要 |
当グループと,オーストラリア・カーティン工科大学物理学部のB.O'Connor教授のグループ(A. van Riessen講師,J. Low講師)で,3年間にわたり,当方から4回赴き,先方は4回来学して実験およびディスカッションを行った.当方では,イットリアを含む部分安定化ジルコニアの正方晶→単斜晶変態におよぼす組成,粒径,環境の影響を詳細に調べた.主な結果は以下の通りである.原子間力顕微鏡を用いた等温時効中の間歇的観察により,一つの結晶粒から生じた単斜晶が隣接する結晶粒に伝播する様相が明らかになった.少量(2%)のアルミナを添加することにより,機械的性質(K_<IC>)が大きく向上する.アルミナ添加材では,粒界にアルミナ,シリカ,イットリアに富む非晶質相が形成され,機械的特性向上はこの粒界相の影響によると考えられることを明らかにした.また,X線回折図形をカーティン工科大学のグループと検討した結果,焼結体の時効では,粉末とは異なり,変態の際に特定の結晶面が優勢であることを示した.一方カーティン工科大学グループでは,新しいセラミックスT_i3SiC_2の開発を行い,リートベルト法による集合組織解析を行うとともに,当学で高分解能電子顕微鏡観察を行い,微細組織を明らかにした.さらに,毛細管現象を利用した傾斜機能セラミックス,真空中加熱によって,表面は高強度を保ちながら,内部は高靭性であるセラミックスの開発などを行った.
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