配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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研究概要 |
一般にインドネシア共和国の畜産・家畜生産についての問題点やその改善に関する情報は主としてジャワ島における状況が中心であり、各種資源の豊富なスマトラ島についての調査研究は極めて少ないのが現状である。本研究では、インドネシア共和国、特にスマトラ島における家畜の生産性を阻害している要因について、同島のパダン市周辺地域における基礎的な調査を行い,中でも小型反芻家畜(ヤギ・メンヨウ)の無機物栄養にその焦点を当てて、改善策について具体的な方向性を見出そうとしたものである。3ヵ年間の調査研究の結果から次のような点が明らかになった。 3ヵ年間の調査研究の結果から次のような点が明らかになった。 1)パダン市周辺地域(半径100km以内)の7地点から採取した土壌中の無機物含量からかなり狭い地域内であるにもかかわらず,有機物の豊富な比較的新しい部分と,栄養的に低質な年代的に古い土壌まで様々であるが、全般にこの地域の土壌はリン(P)と窒素が不充分であると考えられる。 2)パダン市周辺地域における自然牧野草中の栄養成分含量には、際立って家畜に欠乏状態をきたす恐れのあるものは見当たらなかった。しかし、無機物の内鉄の含量は他の熱帯・亜熱帯地域と比較して明らかに高い値を示した。また、比較的高い硫黄含量の影響で銅の吸収率は高い可能性が示唆された。 3)パダン市周辺地域の放牧在来ヤギの無機物栄養状態は、血中の含量から見てFeは過剰のようである。また、Cu, Mnの欠乏の可能性のある場所もあり、特に、Seについては地域間の差が大きく、乾季おいて全個体89頭の約40%が欠乏状態で、約24%が過剰の状況であった。血中の各無機物濃度の季節変動について見ると、Ca, S, Zn, Cu, Mo,およびCoにおいて乾季と雨季の間で統計的に有意な差が認められた。 4)舎内における飼養試験の結果から、インドネシア、スマトラ島における在来ヤギの自然牧野草主体での飼養において、マメ科飼料木茎葉を蛋白質及び無機物の添加補助飼料として給与することは、自然牧野草の摂取量の増加並びに粗蛋白質・粗繊維の消化率の向上による栄養状況の顕著な改善効果を通して、著しい日増体量の増加が見込まれ、生産性の向上に大いに貢献し得ることが示唆された。 多くの発展途上国が位置する熱帯・亜熱帯地域における家畜生産の向上を図るためには、耕種農業副産物の有効利用と地域飼料資源の効率的な開発・利用が重要である。今回得られた研究結果は,それらの地域で豊富に存在するマメ科飼料木を効率よく利用することによって,経済的負担をかけることなく比較的容易に安定した家畜生産の向上を可能にする飼養技術・方策のための貴重な基礎資料となり得るものであると考えられる。
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