研究概要 |
非ステロイド性抗炎症剤は、COX1を阻害することなくCOX2を阻害することによってより副作用の少ない薬物となるといわれている。それをDock4.0を用いコンピュータシミュレーションによって識別する独自の方法を考案し,J.Chem.Software,5(4)147-62,(1999)に報告した。HIV proteaseに元々組み込まれているリガンド(inh1)を元にして、各種の誘導体を合成しそのKi値と分子間相互作用エネルギーから求めたギブスの自由エネルギーと比較したところ比較的良好な相関性が見られた。この事実に基づき、2種の誘導体において、benzyl基を持つものが最も低いドッキングエネルギーを呈することを見つけ,J.Chem.Software,7(3)103-114,(2001)に報告した。 インドール骨格を有する非ステロイド性抗炎症薬の誘導体を合成し、COX2選択性のあるものを独自に考案した方法で考察し,European Journal of Medicinal Chemistryに投稿中である。 抗真菌作用のあるsampangineがDNAに食い込むような形で阻害するドッキングモードを検証し,投稿準備中である。また,化合物データベースで検索したチロシンキナーゼ阻害物質、COX2選択性物質のドッキングを行い投稿準備中である。 酵素、DNA等の高分子化合物の3次元構造が明らかになり、コンピュータ技術の発展とあいまって今後更にこのドッキング領域の研究はすすむであろう。我々は外国との連携をとりながら更にこの研究を続けていきた。
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