研究課題/領域番号 |
11710037
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中山 満子 (下村 満子) 大阪市立大学, 学術情報総合センター, 講師 (30235692)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 漢字熟語 / 認知過程 / プライミング効果 / 熟語 / 漢字 / 認知 |
研究概要 |
漢字の語彙性が漢字熟語の認知過程に及ぼす影響についての実験的検討を行った。予備調査として、漢字の語彙性について、文献調査と被験者の主観評価による調査を行った。 実験は、熟語中の漢字1文字をプライムとする部分反復プライミングパラダイムと語彙性判定課題を用いた。プライムを「1文字で語として機能するタイプ」「熟語の部分としてしか機能しないタイプ」「中間のタイプ」に分けて検討した結果、プライムのタイプとプライム-ターゲットのSOAの間に、交互作用が見られ、語として機能するタイプのプライムは、SOAが長くなるとプライミング効果が小さくなるという結果が得られた。 次に、語彙性の影響と、意味情報および音韻情報の影響との関連を明らかにするために、プライムとターゲットの意味的関連と音韻一致性を統制して実験を行った。主たる条件は、プライムの語彙性であり、語として機能するタイプのプライムは、さらにプライムとターゲットの意味関連の有無と音韻一致/不一致を操作した。SOAは30msec、50msec、70msecの3条件であり、プライムの前後にはマスキングをかけた。実の結果、プライムの語彙性の効果に傾向が見られた。意味関連性と音韻一致性の影響は明らかにはならなかった。また、プライムが語として機能するタイプの場合、no試行において非単語を単語であると判断してしまう誤答が多く見られた。これは、プライム漢字が語として機能するタイプの場合、単語としての表象が活性化されることによると考えられる。 本研究から、漢字の語彙性による熟語認知過程への影響が部分的に明らかになった。1文字で「語として機能する漢字は単語」としての語彙記憶表象を持ち、漢字の処理と熟語の処理との相互作用は、漢字の語彙性によって異なることが示唆される。
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