研究課題/領域番号 |
11710077
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
|
研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代文化学部, 助教授 (60255940)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 関係中心 / 文化 / 社会的認知 / 文化的自己観 |
研究概要 |
本研究では、対人認知及び事物認知に関して、日本人被験者がどのような情報を取り入れるかを特に関係中心傾向と個物抑制傾向に焦点をあて、実証的に検討することを目的とする。今年度は、昨年度見いだされた日本における配色パターンから、関係中心・個別抑制傾向についてを実験的に検討する研究3を実施した。 研究3:配色パターンの判断課題 目的:研究1,2で分析された配色パターンが日米それぞれでどのように好まれるかを検討する。 方法:日本人大学生男女120名を対象として、コンピュータに呈示された配色パターンの好悪を判断させる。図形の数(2個と9個)、図形の配色パターン(コントラスト強と弱)を独立変数、その図の好感度を従属変数とした。 結果:日本人は、2つの色の関係が相互独立的、コントラストの強い、相互対立的な配色パターンよりも、グラデーションをが用いられた配色パターンに対する好みが強いことが見いだされた。また、交互作用がみられ図形の数の多いときには、より相互協調的な配色パターンへの好みが強くなった。アメリカでの実験は、配色に用いられた色そのものをコントロールすることが困難であったため、今後の課題となった。 総括 ここで見いだされた結果は、日本人は欧米人に較べて、人や事物を認識する際に、認識対象そのものを周囲とは切り離すことを抑制し(個物抑制)、どのような関係や状況に認識対象が埋め込まれているかについての情報を優先する(関係中心)といった、判断が見られることを示唆するものである。また、社会的認知における文化要因については、Morris&Pengなどにより、刺激として呈示された複数の事物を認識する際に、アメリカ人の相互独立的な事物の知覚に対して、中国人は相互協調的な事物の知覚をするといったことが明らかにされてきたといった知見とも一致するものである。これらはまた近年の文化心理学的研究の考え方と一致し、それぞれの文化に特有の「自己観」に応じて、心理プロセスの形態が異なることが示唆されたといえるだろう。また、こうした日常性の異なる場面での比較研究における課題も残した。
|