研究概要 |
(1)平成11年度に実施した研究1(自律訓練法実践記録152名分の分析を通して自律訓練中に生じる副作用的反応の種類と頻度を明らかにした)の結果を、日本自律訓練学会第23回大会(2000.11:横浜)で発表し、さらに副作用的反応への対処法を自律訓練法指導者への調査によってまとめた。 (2)平成11年度に実施した研究2(健常者38名に自律訓練法を4週間実習させ、客観的認知スタイルの増大(p<..05)および特性不安水準の低下(p<.01)が有意に起こり、この効果が、副作用的反応を体験し克服した者に顕著であることを確認した)の成果を、27th.International Congress of Psychology(2000.7:Stockholm)において発表した。 (3)研究3「自律訓練法による短期的な心理生理的状態の変化の検討」を実施した。自律訓練法を習得させた大学生75名に、5分間の練習の前後2回、選択的再認傾向検査(坂入,1999)、STAI状態不安検査、手指の皮膚温測定を実施した。結果として、自律訓練法実施後に状態不安が有意に(-7.0点:p<.001)低下し、皮膚温が有意に(+1.2℃:p<.001)上昇することが確認された。 (4)研究4「自律訓練法による長期的な心理生理的反応特性および認知スタイルの変化の検討」を実施した。大学生23名に自律訓練法標準練習を6週間実習させ、肯定的・柔軟的・客観的認知スタイル尺度(坂入,1999)とSTAI特性不安尺度を実習期間の前後に実施し、統制群と比較した。また、実習期間中に3回(1,4,6週後)自律訓練中の生理的覚醒水準(手指皮膚温,GSR,心拍,呼吸)の変化を測定した。結果として、自律訓練法実習群は有意に大きく認知スタイル尺度の肯定性得点(p<.05)及び総合点(p<.05)が増大し、特性不安水準が低減した(p<.05)。また、生理的変化としては、自律訓練法の習得に伴って手指皮膚温が大きく上昇し(+3.6℃)、特に「冷え性」を訴えていた8名の症状が顕著に改善した(+8.2℃)。
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