研究課題/領域番号 |
11710111
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 助教授 (10253387)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 多文化主義 / 国民国家 / 日本 / フランス / 国籍 / 参政権 / 外国人 / 移民 / 参加 |
研究概要 |
本年度は、昨年度から継続して日仏型多文化主義理念の抽出および比較を行った。そのために、フランスでの資料収集を実施し、新規の論文や資料を収集した。 さらに、本年度は多文化主義的政策の実態把握を目的として、自治体を訪問することで、自治体での多文化主義的政策(政治参加、多言語教育など)の実態を把握することに努めた。その結果、政治参加に関しては、世論の中に外国人の地方選挙権付与を求める意見が強いにも関わらず、付与法案の審議が進まない事態に対して、各自治体で外国人市民施策のための特別の審議会を設置することで、実質的政治参加を保障しようとする試みが拡大していることが明らかになった。他方、教育に関しては、日本語が充分使用できない児童・生徒に対する日本語教育や日本人児童・生徒に対する国際理解教育は行われているものの、母語教育は、定住外国人の団体やボランティア団体が担っているに過ぎず、政策化するにいたっていないことが明らかになった。 こうした実態や昨年度の研究成果もふまえて、国民国家における多文化主義の意義と問題点を考えるならば、まず第一に、「多文化主義」の概念が、多文化の共生、少数文化の保護、アファーマティブ・アクションなど多岐にわたり、未だ定着するに至っていないという問題点を指摘できる。第二に、国民国家においては多文化主義的政策の自治体レベルでの実施、すなわち「下からの多文化主義」は困難であると指摘できる。しかし、「多文化主義」が民族集団の併存を越えた、国民国家の変革をともなう理念である以上、わが国における地方分権化の発展やヨーロッパにおけるEU統合にともなって、「下からの多文化主義」の可能性も期待できる。 なお、国民国家における多文化主義に関する研究はこれからも継続しなければならない課題である。
|