研究概要 |
本年度の研究では,「学習者の共助活動意欲の変容を,福祉教育・ボランティア学習活動の教育・学習効果の評価視点として用い得るか」に関し,計量的な縦断調査データをもとに実証的に検討を行なうことを目的とした。共助活動意欲の指標には,ボランティア活動意欲を用いた。具体的な検討は,福祉教育・ボランティア学習実施直後に学習者に見られるさまざまな行動・態度・志向の変容のいずれにより,実施から一定時間経過後の学習者のボランティア活動意欲の肯定的変容を予測し得るかに関し行なった。 分析は,ワークキャンプ事業参加者男女165名を対象とした縦断調査により得られたデータをもとに行なった。縦断調査は,3時点(事業参加2〜3週間前・事業参加直後・事業参加2〜3週間後)で行なった。分析には,t検定とロジスティック回帰分析を用いた。 分析の結果,初心者を対象とした交流体験を含む宿泊型の福祉教育・ボランティア学習活動の場合に,教育・学習の終了直後の学習者の行動・態度・志向の変容により,一定期間経過した後の学習者の共助行動・援助行動の意欲の肯定的変容を予測するには,終了直後の学習者の「社会的要援護者への同一視的な共感反応」や「社会的要援護者の本質的特性に注目する態度」の変容に着目するが有効であろうことが示唆された。
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