平成12年度において、対人ネットワークの形成とその特徴を調査した。今年度はその影響要因の分析に加え、情報の利用とその入手先を加えた。「情報」を(1)アルバイトなどの生活情報、(2)悩み相談などの情報、(3)日本文化・社会に対する認識情報、(4)勉学情報、(5)就職などの情報を分け、その入手先(指導教官、同級生、保証人などの日本人、中国人)とその情報が実際どのように役立ったかを面接で調査した。主な結果は次になる。 まず、同国中国人との関係は比較的持続的で安定していることが言える。時間的な推移によって同国人の友人の数が次第に増え、またそれらの友人から生活情報、認識情報を中心に獲得しているようである。悩みも同国人に打ち明ける傾向が強く、同国人のネットワークは生活面、ストレス解消などの精神面に役立っている。 同国人に比べ、日本人友人の数が比較的に少ないが、勉学の情報、就職の情報を入手するなど重要な役割を果たしている。時間と共に日本人友人の数が減るという傾向があるが、日本語能力が向上しても日本人・社会への理解は日本人の友人が期待しているものとの間に落差があると考えられる。 これらのことから、来日初期の生活指導と同様に長期間滞在している中国人に対する精神的なケアが非常に大事であること、正しい日本観を持たせるために中国人団体との交流活動の質が課題として提起できる。
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