研究概要 |
今年度は8月に研究対象地域である中国雲南省において調査を行った。また調査期間中,雲南大学において中国歴史地理学会が開催されたため,中国西南地方を中心とする地域の多くの歴史地理・地方史研究者が同地を訪れており,それらの研究者に対して西南地方の地方史史料の収集・整理保存にして聞き取り行うことができた。特に重要なものとしては明代の雲南地方志二種が雲南大学歴史系によって校訂・出版されたこと(『雲南史料叢刊』所収),元代の地理志残本のうち西南地方を含む『混一方輿勝覧』の校訂が四川省で勧められていることなどがあり,前者については実物を入手することができた。 古籍史料の所蔵調査は雲南大学図書館等について実施することができたが,もうひとつの重要目的地である雲南省図書館については,同館が改装工事に伴い長期閉館中であったため果たせなかった。 前年度に複写を入手した明代地方志については電子化の作業が進行中であるが,上記の雲南大学による出版内容と重複するため,単なる画像入力の意義が薄らいだ。そこでさらにこれらの電子テキスト化を進めるべく,方法および使用文字コードなどについて検討を進めた。具体的には内外の研究者による利用を容易にするため,日本語(JIS)の文字コードではなく,国際規格であるunicodeによるテキスト化を行うこと,同時にそれをWEBページのかたちで公開すること,コード化されていない文字については画像を使用し,参照番号として『大漢和辞典』の親字番号を付することなどである。この作業は現在進行中であるが,その成果の一端として,元代雲南地方志史料の一つ『雲南史略』などを含むいくつかの中国西南地方の民族に関する史料を研究代表者のWEBページ(www.lit.nagoya-u.ac.jp/〜toyoshi/maruha/kanseki)において試験的に公開している。
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