研究課題/領域番号 |
11710200
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
岩武 昭男 関西学院大, 文学部, 助教授 (80278770)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イスラーム / ワクフ / モンゴル / イルハン朝 / マムルーク朝 / 元朝 |
研究概要 |
申請時の計画では本年度は史料収集に重点をおいていたが、アラビア語文献を中心にまず基本的な文献を収集しえた。研究実績としては、論文「イスラーム社会とワクフ」(『岩波講座世界歴史10イスラーム世界の発展』所収)においては、イランを中心とするイスラーム社会の10世紀から15・16世紀までの社会変化をワクフ制度を動因の中心に位置づけて論じた。ここにおいて、マムルーク朝下カイロで設定されたワクフのアラビア語文書を用いて、イランにおけるペルシア語ワクフ文書から判明する機能との共通点を明らかにした。また、元朝下中国の杭州におけるワクフ設定の事例を紹介することもできた。申請時の研究実施計画において設定していた課題のいくつかについては、本格的な研究に入る第一段階の成果は、本論考で提示できたものと考える。なお、この作業の過程で、これまでイスラーム世界の歴史の展開を見るうえにおいて排除されてきた要素であるモンゴルの重要性が、改めて浮彫になり、論文「モンゴルのイスラーム化の諸相」(『関西学院史学』27号所収)において、モンゴルとイスラームの関連を改めて問い直す試みを行った。日本においては比較的進んでいるモンゴル研究であるが、この分野においては逆に、イスラームとの関連をあえて等閑視する傾向が見られてきた。ここでは、第2代大ハン、ウゲデイ時代に既にムスリムのモンゴル政権への積極的関与があったことを論証したうえで、モンゴルがイスラーム化していった状況を整理し、さらに、イルハン朝下において、非モンゴルの官僚群が新たにモンゴルの君主をイスラーム国家の頂点におく理論化を試みていたことを明らかにした。
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