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縄文時代の石器利用体系を解明するための基礎的作業

研究課題

研究課題/領域番号 11710212
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 考古学(含先史学)
研究機関京都大学

研究代表者

冨井 眞  京都大学, 文学研究科, 助手 (00293845)

研究期間 (年度) 1999 – 2000
研究課題ステータス 完了 (2000年度)
配分額 *注記
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
キーワード剥片石器 / 剥離面 / 表面変化 / 摩滅 / 光沢 / 使用痕 / 管理維持 / 実験 / 金属顕微鏡 / 携行 / 稜 / 複製石器
研究概要

本研究は、石器の表面観察を通じてその利用体系(=管理維持活動)を実証的に検討することを目的とし、三段階の作業を行った。第一段階として、複製剥片石器を実験的に摩滅させてその光沢面の観察を行った。まず、発掘後の人為的摩滅という要素を除去するべく、収納箱や手指との接触による摩滅光沢を観察した。その成果は以下の二点である。(1)遺物が通常の収蔵状態にある場合、稜線上の光沢を携行による摩耗の決め手とするのは危険である。(2)手擦れは、稜線を二百倍で検鏡しても二千回程度の指の前後運動では生成しない。続いて、石器が廃棄に至る過程で最も高い頻度で接触するだろう手指による摩滅実験をさらに重ね、複製石器を観察・検討した。その結果、稜線だけでなく剥離面内まで光沢が生じるには、光沢形成速度の速いサヌカイトでさえ数千回以上の指の前後運動を要することがわかった。従って、石器の体部に刃部とは分断されて観察されるE1ないしF2タイプ類似の光沢は、その石器の相当な作業量ないし活用時間を反映していると解釈できる。第二段階として、遺跡出土の石器の摩滅光沢の抽出を試みた。(1)主要剥離面よりも新しく形成された剥離面のうち、(2)石器の使用に伴う手指や柄の運動があまり関与しない複数の剥離面で、(3)面内に確認される摩滅光沢のタイプや線状痕が刃部のそれらと異なるものを検出し、(4)光沢のない面と合わせて合計3段階以上の表面変化度を認める、という作業である。これは、石器の管理維持活動を物語る多段階表面変化を抽出するべく基礎手順として提起されよう。北白川縄文遺跡群出土のサヌカイト石器ではこれを満たす資料はなかったが、別の縄文早期の遺跡出土の頁岩製剥片石器でそうした多段階表面変化を確認した。剥片石器の管理維持活動が初期定住社会でも確認され得たので、石器の利用体系には定住化によっても直接的には変化しない部分がある、と結論できる(=第三の作業の成果)。

報告書

(2件)
  • 2000 実績報告書
  • 1999 実績報告書

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公開日: 1999-04-01   更新日: 2016-04-21  

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