研究課題/領域番号 |
11710251
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
中国語・中国文学
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
東 賢司 大分大学, 教育福祉科学部, 助教授 (10264318)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 書道史 / 新出土資料 / 文字コード / 後漢時代 / 地域様式 / 熹平石経 / 漢字 / 書体 / 様式化 / 隷書 / 字形 / 肉筆書 / 文字 |
研究概要 |
本研究は、漢字というものに視点を当て、従来からの書体分類の方法である「篆書・隷書・楷書・行書・草書」の五体の分類が細分化できないかを検討してきた。 中国書道史の研究では、中華人民共和国が建国されてからの約50年間に資料を「新出土資料」と総称している。これは、科学的な発掘技術の方法が確立され、文字資料を取り巻く環境、つまりどこにどのようにして収められていたか、墳墓の状況はどうであり他に副葬品は何があったかなどであるが、この周辺情報が得られることによって、文字資料の性格的な位置付けをすることに非常に有益となっている。書体研究と関連がないように思われるが、文字は書かれる場所や材質によって変化してくる。 しかし、新出土資料は、中国全土から出土し報告書もばらばらであることから、全ての資料を網羅して知ることは難しく、研究の妨げになってきた。そこで、全ての文字資料と発掘状況を網羅したデータベースを作成し、簡易に検索でき必要な情報を取り出すことのできるシステム構築に取り組んできた。今年は、昨年収集できなかった資料の収集とデータ入力を中心に行ったが、入力・検索する上で問題となったのが、文字コードの問題である。現在の日本・中華人民共和国・台湾という漢字文化圏のコンピュータ上の文字コードはまったく異なり、検索の際にヒットしないことが生じる結果となった。そこで、ユニコードという世界的に統一しているコードに文字を置き換え、整備をした。 書体分類上のキーとなる時代は後漢時代である。この時代は、先の五体が全て出揃い存在している時代であり、他に例を見ない時期である。データ化した資料の中から、特に刻石・肉筆書に視点を当てて検討を加え、新たな視点を探り出すことができた。その分類とは、書かれた地域による分類方法で、仮称「地域様式」と述べている。この地域様式は、現在の省別の分類ではなく、後漢時代の郡県による分類である。「熹平石経」後漢時代に作られた石碑の文字を基準にして新出土資料を見ると、「青州・徐州様式」「〓州様式」「予州西部・司隷校尉東部様式」等の細分化が可能であり、この地域様式を各資料に当てはめていくと、例えば隷書か楷書か区別できない資料でも分類できると考えることが可能であるという結論を得ることができた。
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