研究課題/領域番号 |
11710256
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 譲 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70302825)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 消費文化 / オスカー・ワイルド / D.H.ロレンス / イギリス文学 / ヴィクトリア朝 / 大衆論 / 女性像 |
研究概要 |
「ヴィクトリア朝後期における「大衆」イメージの形成に関する研究」の2年目に当たる本年は、昨年度の研究成果を踏まえ、まず4月に学内で19世紀末の消費者文化の誕生に関する発表を行った。19世紀後半からイギリスで発達した消費文化は、生産をこそ経済の中心と見なしていた当時の批評家たちから、文化の衰退を招くものとして攻撃を受けた。その際に消費者は女性としてカテゴリー化されており、女性嫌悪と大衆文化の蔑視とが同一の言説空間の中で構造化されていたことが分かる。実際に、消費文化の誕生は女性の行動に新しい規範を生みだし、都市空間の中で自由に活動することを可能にしたが、その一方で、女性を広告等においてイメージ化し、ひたすら受動的な立場に置く危険を招いた。また、植民地においても、宗主国の大衆文化のイメージは、文化的な支配を強化する働きをしつつも、その読み替えによって独自の文化の確立に裨益したという両面性を持っていた。そうした曖昧さは、文化の均質性・連続性を保持しようとする知識人層にはいとわしいものと捉えられていたのである。こうした状況認識の上で、引き続き同時代の具体的な文学作品の検討を行った。例えば、オスカー・ワイルドの一見反俗的な文学が、いかに同時代の消費文化のレトリックを利用し、またワイルド自身が広告のキャラクターとして消費されたかを論じた。また、研究対象の時代に精神形成をしたD.H.ロレンスが、その作品の中で当時の大衆文化批判の言説にに深く影響されていたことを明らかにした。
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