平成11年度は、米州機構・国際私法専門会議(CIDIP)による米州統一国際私法条約のいくつかについての正確な理解を図るべく、文献等に基づく調査研究を行った。平成12年度も引き続き、残りの米州国際私法条約の研究を行うと同時に、2001年に開催予定の米州国際私法会議(CIDIP-6)で審議される条約案についても若干の検討を行った。さらに、南米共同市場(MERCOSUR)による契約事件の国際裁判管轄に関するブエノスアイレス議定書についても調査検討を行った。 米州国際私法条約については、1975年の第1回会議(CIDIP-1)から1994年の第5回会議(CIDIP-5)までに21の条約と2つの追加議定書が採択されており、その殆どが発効している。もっとも米州機構の加盟国のすべてが当事国となっている条約はなく、多くは南米を中心に10カ国程度が批准しているものである。米国も僅かの条約しか批准していない。統一国際私法条約の対象として、当初は手続法及び取引法関係の問題が中心として取り上げられていたが、最近では家族法関係の問題も取り上げられている。なお、2001年にグアテマラで開催予定の第六回会議(CIDIP-6)では、越境環境汚染に関する準拠法、国際裁判管轄などの問題についての審議が行われる予定である。それぞれの条約の内容としては、ハーグ国際私法条約やヨーロッパの統一国際私法と比較して、新しい試みや興味深い点が多い。わが国にとっても参考となり得よう。 以上のような、米州国際私法専門会議の概要並びに個別の条約等の内容については、今後、各種の方法(ホームページ、論説など)で公表していく予定である。
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