研究課題/領域番号 |
11720019
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 哲生 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (80230572)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 保険代位 / 不動産売買 / モーゲージ / 被保険利益 / 重複保険 / 代位 |
研究概要 |
保険の目的物に複数の利害関係者がいる場合に利害関係者の一人が自己の利益についての保険契約を締結した場合、保険金と他の利害関係者の関係が問題となる。たとえば、不動産売買の売主の利益の保険については、買主と保険の関係が問題になる。 この問題につきアメリカでは以下のような議論のあることが判明した。保険者が代金債権等に代位するか、買主等の第三者が受益するかについて、一般的には第三者の受益は否定的に評価されている。その理由は、保険契約の人的契約性(モラル・ハザードの問題)、保険料負担の問題、保険の存在により危険負担ルールが変わる不当性などである。しかし、不動産売買では売主の保険につき買主が受益することが認められている。これは理論的には不動産物権変動におけるequitable conversionの理論と保険金が不動産の代物であることに基づくが、実質的にはいくつかの議論がある。すなわち、買主危険負担ルールの不合理さ、売主の不当利得、保険金の代物性などである。判例は買主の受益を、危険負担が不合理である場合に限ってはおらず、判例の傾向は代物性の議論にもっとも近いように思われる。なお、モーゲージにおける担保権者の保険については設定者の受益は原則としては認められていない。買主と売主、担保権者と設定者の両者が付保している場合には、買主・担保権者の保険者が代位すると解すれば調整の必要はない。売主・設定者が受益すると解した場合に調整が必要になる。上記のように一般的には代位が適切とされるので、調整の間題は生じない。 これらの議論からすれば、次のように考えられる。基本的には第三者の受益は認めない方向で保険制度を考える方が適切である。ただし、不動産売買における危険負担のような取引に応じた事情により修正する必要はある。
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