研究課題/領域番号 |
11720026
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐久間 毅 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80215673)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 信頼保護 / 帰責性 / 表見代理 / 信頼の正当性 / 信頼 / 意思表示 / 法律行為 / 表示意識 |
研究概要 |
本研究では、私法における信頼保護制度を、効果の相違により、関係発生保護(信頼保護のために法律行為的効果を発生させるもの)と関係消滅保護(信頼保護のために既存の法律関係の消滅を認めるもの)・関係存続保護(信頼保護のために既存の法律関係の存続を認めるもの)とに分けて、各制度における被保護者の要信頼保護事情・不利益負担者の帰責根拠・両者の相関判断構造を検討し、わが私法上の信頼保護法理の解明を目指した。 今年度は、まず、前年度の研究を受けて、関係発生保護の代表的法理に位置づけることのできる表見代理に関する研究の成果を、著書『代理取引の保護法理』にまとめた。ここでは、法律行為が行われた場合と同様の効果発生を認める関係発生保護については、意思表示・法律行為の成立及び効力発生に認められるのと同様の準則・考え方が妥当することを示した。それによると、従来しばしば説かれてきた、被保護者の要保護性と不利益負担者の帰責性の相関判断は、必ずしも妥当していないし、また適切でもないということになる。 次に、関係消滅保護に関するものとして、債権の準占有者への弁済について研究を進めた。この場合にも、信頼保護を受ける者は、単に準占有者を真の債権者と信頼しただけでは足りず、そう信じることについて正当性を有していなければならない。しかも、この正当性の判断は、真の債権者の帰責性によって左右されるわけではない。これらは、関係発生保護と同様であり、信頼保護制度の共通要件と考えられる。さらに、不利益負担者に何らかの帰責性が必要なことも、信頼保護制度の共通要件と考えられる。ただし、債権者の帰責性の程度については、当事者間に法律関係がすでに存在しているため、不利益負担者にとって自己に不利な状況の発生を回避することが比較的容易であるため、関係発生保護に比べれば、小さな帰責性によっても関係消滅が肯定される。
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