研究課題/領域番号 |
11720037
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
金澤 真理 山形大学, 人文学部, 助教授 (10302283)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 中止未遂 / 中止犯 / 未遂 / 刑事政策説 / 中止行為 / 未遂犯 / ドイツ法 |
研究概要 |
標記課題について、以下の知見を得た(裏面研究発表参照)。中止未遂の根拠を示す学説として、従来、未遂犯の違法性、責任との関係から説明を試みる法律説と未遂犯の違法性、責任とは別個の論理から特別の法的効果を正当化する刑事政策説とが対立してきた。だが、両説の対立は近年相対化され、両者の併合説が有力化している。かかる傾向を考察するために鍵となる概念「刑事政策」に着目してドイツの立法資料、裁判資料等を精査検討した結果、刑事政策説を基盤とする学説は、法律説との対決を通して変容を遂げていることが判明した。即ち、当初未遂犯の体系的整合性の見地から、中止未遂により未遂犯の違法性、責任が減少すると説く法律説を批判することが存在理由であった刑事政策説が、中止未遂の成否基準を導く基準たり得ないとの反批判に遭い、未遂犯の犯罪成立要件たる違法性、責任とは無関係な予防の観点を取り入れることにより、中止未遂の論理構造を説こうとする刑罰目的説へと変貌したことが端的にそれを表している。刑罰目的説の登場により、従来の刑事政策説が前提としていた中止行為と未遂行為とを別個に考察する思考方式から中止行為と未遂行為とを一体的に考察する全体的考察の手法が刑事政策説に導入された。このことにより、未遂行為と中止行為とを別個に考察する思考方式は必ずしも刑事政策説に特徴的な論理ではないことが明らかになる。それと同時に、従来批判されたような「いったん生じた違法性、責任の事後的消滅」は法律説に必然の論理ではないことも判明した。つまり、中止未遂をめぐる議論の対抗軸が変わったのである。以上の考察を踏まえると、未遂犯の違法性、責任とは無関係な考慮に頼らなくとも中止未遂の成否基準を明確に提示することができるであろう。なお、その具体的基準については、改めて別稿を準備中である。
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