研究課題/領域番号 |
11720042
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川島 真 北大, 法学部, 助教授 (90301861)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 中華民国外交史 / 不平等条約改正史 / 文明国化 / 主権と宗主 / 地方交渉 / 外交档案 / 顧維鈞 / 中華民国北京政府 |
研究概要 |
本研究では、主に1910〜20年代の中国外交を、外交文書に基づいて研究し、実証的事例研究を基礎としながら、その外交システムの総体を総合的に明らかにすることを目的とした。本年は、既に収集している中国・台湾所蔵の外交档案(中国外交文書)の読みこみをおこなうとともに、先行研究を幅広く収集、裏に示したような事例研究を公にし、他方で博士論文『中華民国前期外交史研究』(平成11年度東京大学大学院人文社会系研究科学位請求論文)を年度末に書き上げることができた。ここで得られた新たな成果は、以下の通りである。第一に、中華民国北京政府の外交を、文明国化の使命に支えられた「近代主権国家外交」であったと規定することが可能だということが判明したこと。具体的には不平等条約の改正、近代外交行政の整備が、様々な問題を孕みながらも進められたことにある。この時期の外交こそ、主権・独立・内政干渉・「これ以上奪われない・奪われたら奪い返す」などを言辞に使う近現代中国外交の鋳造期なのであった。第二に、こうした近代主権国家外交が展開されながらも、宗主の論理が消え去ったわけではなく、宗主の主権的な読み替えなどがおこなわれていたこと。これはチベットやモンゴル政策のみならず、朝鮮やタイに対する政策から読み取れる。第三に、こうした外交を展開しつつ、やはり実効支配能力に乏しい中央政府は条約履行能力の面で内外からの厳しい批判にさらされたものの、外交に関しては中央地方の関係が比較的正常に機能し、時に外国に敵対するように見せながら実際は連絡を取り合い、また中央政府も自らが代表権を有していることを内外に示す努力をし、また中央に対抗しても、第一の点で述べたような政策の基本は変わらなかったということ。 これらの諸点は、従来の研究では明らかにされてこなかった点である。しかし、前後の時代との連関、同時代の社会経済との関係、政治学的な抽象化、他地域との比較、国際政治史的視野などに欠けている。これらは次年度に検討したい。
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