旧文部省所管の国立4年制大、短大、研究所と「民間等との共同研究制度」を利用した経験が1回以上のある株式公開企業556社に対して、産学共同研究に関するアンケートをとった。 当初の第1テーマでは、企業の研究者と大学研究者間のコミュニケーションを通じて、イノベーションの普及過程を明らかにする予定であったが、アンケートの結果から殆どのケースで大学研究室が企業の研究開発活動の下請的傾向が強い事がわかり、双方の研究者がコミュニケーション理論からのモデル作りは今回の調査では不可能だった。 第2のテーマであった企業の共同研究に対する意識に関して調査を行った。その結果によると、大学全体に対する意見では、(1)大学でリエゾン機能をもつ部署そのものの存在は、さほど知られていない。(2)したがって、リエゾンが大学教官に共同研究を斡旋することはあまりない。(3)企業は人づてに共同相手を探して、直接教官に申し込んでいる。(4)企業から見ると、私立大学よりも国立大学のほうが、共同研究に熱心であると感じている。 一方で、なるべく避けたいとする大学(研究室)についての質問では、殆どが研究者個人と断りつつ(1)学生の就職を絡めてくる、(2)基礎研究に持ちこみたがる(企業によっては全く逆の意見もあり)、(3)企業の研究所から遠距離の大学、(4)研究者のレベルが低いをあげている。 共同研究制度そのものについて、(1)契約内容を自由にして欲しい、(2)手続きの迅速化などの要望があった。
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