研究課題/領域番号 |
11730072
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
大沼 宏 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (00292079)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 税効果会計 / 将来CF / 予測可能性 / 実証研究 / 税務開示 / 発生主義 / 将来Cash Flow / 経営者の予測要素 |
研究概要 |
改訂連結財務諸表原則から、法人税等(法人税・住民性及び事業税)の計算については税効果会計が全面適用となった。平成12年度はこの税効果会計適用によって認識されるようになった繰延税金資産・負債が、将来キャッシュフロー(以下将来CF)と因果関係を持つかどうか、及び予測可能性を持つかどうかという点を検討した。この税効果会計とは、法人税等の処理に発生主義を適用することでなされる期間配分処理のことである。発生主義は費用収益の対応原則を中心としており、当期の収益と費用を適正に期間対応させるために、一部期間的に対応しない費用は次期に繰り越される(逆もある)。税効果会計も同様に当期純利益と期間的に対応しない法人税等について次期に繰り越すべく、繰延税金資産ないし負債が認識される。一方で繰延税金資産・負債の認識は、演繹的には将来CFの発生可能性を考慮して行われるとされる。 そこで本年は、以上の演繹的論理に対して統計的手法を用いて検証した。検証の結果次の三点が成果として得られた。第一に、繰延税金資産と負債とでは将来CFの予測可能性に差があるという点である。特に繰延税金資産は将来CFの予測可能性が低く、ここから繰延税金資産は現金として回収される見込みが低いことが示唆される。一方で繰延税金負債は予測可能性が高かった。第二に、会計基準の変更が予測可能性に影響を及ぼすという点である。検証ではアメリカSEC基準準拠企業をサンプルに利用したが、計算法変更が将来CFへの予測可能性に影響を及ぼすことが明らかになった。第三に、将来CF予測能力については繰延税金資産・負債を加えたモデルと加えなかったモデルとでは、加えたモデルの方が能力が高いことが明らかになった。つまり、税効果会計を適用することで、企業の財務諸表による将来CF予測能力は向上したという点が実証されたのである。このことは、税効果会計を適用することで、企業税務の開示状況も改善するということを意味する。
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