研究概要 |
当研究計画は藤田予想をめぐるものである。Xを複素数体上D次元のなめらかな射影多様体とし、MをX上の豊富な因子とする。すると線形系は|Kx+mM|はm【greater than or equal】d+1またはm=dかつM^d>1の時に基点を持たない。さらに、m【greater than or equal】n+dまたは、m=n+d-1かつM^d>1の時に|Kx+mM|はn点を分離する。 d=2でかつx∈Xが線形系|Kx+mM|の基点である時、Reiderの定理により、点xを通る曲線C⊂Xであって、M.C=1となるものがある。一般に、もし|Kx+mM|が閉点集合Σ⊂Xの有限集合を分離できないならば、Xの部分多様体の減少列Z=(Z_0,...,Z_r)であってΣの多くの点を含みかつ小さな次数をもつものが在ると期待される。鍵となるのは次数の精密な評価である。なめらかな部分多様体の旗の場合には、その次数評価は形式的にRiemann-Roch定理の適用より出る。この場合にはなにも新しいことはないが最良評価を得るために論法を洗練する必要がある。そのことは証明のよりよい理解を与える。さらに、具体的な例により評価は最善でありかつ上に述べたすべての予想を意味することがわかる。 一般に特異性を持つ旗を考えねばならない。これらの場合はなめらかな場合に還元する退化を用いることにより、そう難しくない。すると評価は最良ではないが、特別な特異点に対し最良評価を求めることは非常に興味あるとは思えない。よって、私はなめらかな場合と同じ評価を検証することに専念した。困難は別な原因に由来する。証明においてすべての可能な旗を同時に扱わねばならない。このことは一見不可能に見える。しかし、新しいアプローチによりこの問題を扱える。例からもわかるように、このようなアプローチは非常に複雑であるべきだし、実際そうである。
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