研究課題/領域番号 |
11740026
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小山 信也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50225596)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 素測地線定理 / 素数定理 / 整数論 / スペクトル幾何学 / セルバーグ跡公式 / ゼータ関数 / 保型関数 / L-関数 / リンデレーフ予想 / 素測地線 / 量子カオス / ベッセル関数 / 分布定理 |
研究概要 |
測地線定理あるいは素測地線定理はリーマン多様体の閉測地線の長さの分布に関する定理であり、素数定理の幾何学的類似として位置付けられるものである。素測地線定理の精密化は多様体上のラプラシアンの固有値分布のランダム性に関係し、スペクトル幾何学の未解明な現象を含んでいる問題と考えられている。本研究はそうした背景を踏まえ、3次元数論的多様体に関して素測地線定理の精密化を行うことを目的とした。2次元の場合はルオとサルナックにより1995年に精密化がなされている。本研究で3次元数論的多様体に対して以下の成果を得た。 第一に、リンデレーフ予想を仮定した下での素測地線定理の誤差項を、これまで知られていた5/3乗から11/7乗に改善した。実際には平均リンデレーフ予想という通常よりも弱い形の仮定で成立する。3次元の場合は2次元の場合と異なり、スペクトラル大篩の方法が確立されていないため、現状では平均リンデレーフ予想の仮定が必要となる。この仮定を外すためには、クズネツォフ公式の高次元化が必要であるが、最近、本橋とブルッグマンによりそれが成されつつある。今後、彼らの結果を用いることにより、リンデレーフ予想の仮定を外すことが可能になると思われる。 第二の成果は、アイゼンシュタイン級数の量子エルゴード性の証明である。これには保型L関数の凸境界の改善が必要であったが、昨年、ペトリディスとサルナックは3次元の非正則カスプ形式のL関数について改善に成功した。その結果を用い、アイゼンシュタイン級数の量子エルゴード性の証明に成功した。3次元の場合はこれまでに量子エルゴード性の成立を示唆する数値計算例が全く得られておらず、その成立の可否は不明であったが、本研究によりそれを初めて証明することができた。
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