初年度(平成11年度)に引き続き、スカラー曲率が正のコンパクト自己双対多様体に付随するツイスター空間について研究を行った。 まず、2次元トーラスの作用を持った単連結なツイスター空間の同変変形について調べた。2次元トーラスの作用を保った同変変形として得られるツイスター空間はもとの空間とほとんど同じ構造をしている。そこで、2次元トーラスの中の1次元トーラス(すなわち円)であって、同変変形の結果として得られるツイスター空間の自己同型群がその1次元トーラスになっているものを決定した。さらに、それらの1次元トーラスの中で、同変変形が代数次元を変えうるものも決定した。 また、3つの複素射影平面の連結和の上のツイスター空間であって、正則自己同型群が自明でないものについても研究を行った。その結果、今まで知られていた例以外にもそのようなツイスター空間が存在することがわかった。さらに、そのようなツイスター空間は今まで知られていた1種類の例と、今回得られた新しいツイスター空間の2種類しか存在しないこともわかった。この新しいツイスター空間は、3次元複素射影空間の、4次曲面に沿って分岐する2重被覆の構造をもち、その4次曲面の特異点集合はちょうど3点からなり、非特異モデルは楕円曲線上の線織曲面に双有理同値であることも示した。 また、国内外の研究集会に積極的に参加し、上記の結果の口頭発表を行った。とくに、ドイツ共和国Kaiserslautern大に1ヶ月滞在し、同大学のBernd Kreussler氏と、詳細な研究打ち合わせを行った。
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