研究概要 |
平成12年度はホモトピーファイバーの組み合わせ的構成を統一的に扱う方法を開発することに成功した.Vを連結複素多様体とする.簡単のためπ_1(V)=0,π_2(V)=Zとする.Rat_k(V)でS^2=CU∞からVへの基点を保つdegreeがkであるholomorphic mapsのなす空間を表わす.正則性を忘れることにより包含写像i_k:Rat_k(V)→Ω^2_kVがある.いまi_kはある次元までhomotopy同値であると仮定する.i_1:Rat_1(V)→Ω^2_0Vの随伴写像をuniversal coverに持ち上げることにより写像ad(i_1):ΣRat_1(V)→ΩVが得られる.一般のVに対しこの写像のホモトピーファイバーを組み合わせ的に構成することに成功したのである.組み合わせ的モデルとしては次のものを取れば良いという結論に達した.まず始めにVとしてloop groupΩSU(2)を取ると,Rat_k(V)はinstanton moduli space M_kと同一視される.これにはUhlenbeck completionというものがある.つまり,M_k=∪^k_<i=0>SP^i(R^4)×M_<k-i>である.そこでモデルとしてはcompletionの始めの2つのstrataであるM_kUR^4×M_<k-1>を取れば良いのである. 同様に一般のVに対してもRat_k(V)のUhlenbeck completionを考え,始めの2つのstrataを取ればモデルが得られる.例えばVとしてΩSUをとるとhomotopy fiberはΣBU(1)→SUのそれになり,この写像はBott periodicityと関連して以前から興味を持って研究されている写像である. なお上の成果には平成11年度の成果が大きな下地になっていることに注意する.つまり平成11年度はV=CP^mのときに上のことを証明したのである.ついで平成12年度にはこのことを大幅に一般化したわけである.
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