研究概要 |
母集団分布の標準偏差のベキの形の母数の逐次点推定について,二乗誤差に加え標本数コストを考慮に入れた損失構造をもつ最小リスク問題の研究を行った。 1.正規母集団の母標準偏差のr乗の形の母数の逐次点推定問題に対して,純逐次法(purely sequential procedure)を提案し,標本抽出コストを小さくしていくときのリスクの2次漸近特性について調べた結果,リグレットはrの値が-2のときに最小になることがわかった。この理論結果は疑似乱数を用いたシミュレーションによってもその正当性の裏付けがなされた。さらに,逐次方式を偏り補正することによってリスクを縮小できることもわかった。この研究成果を2000年9月24〜27日に京都大学で開催された日本数学会において新潟大学の磯貝英一氏と共同で講演発表している。 2.母集団が位置母数と尺度母数をもつ指数分布に従う場合において,母標準偏差のr乗の形の母数の逐次点推定問題を考察した。純逐次法を与えてリスクの2次近似式について調べた結果,リグレットはrの値が-1のときに最小になることが示された。また,逐次方式のバイアス修正を行った場合,rの値が-1から離れるほどリスク縮小効果が大きいことも示された。この研究成果は2000年11月15〜17日に新潟大学で開催された科学研究費基盤研究(A)(1)「非正則推測理論と情報量の概念に関する研究」(研究代表者赤平昌文)によるシンポジウム「統計的実験における理論的基礎とその応用」において磯貝英一氏と共同で講演発表なされている。
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