研究概要 |
申請者はこの2年間,反応拡散系のひとつである,2種類の高分子からなる高分子鎖の相分離過程を記述した偏微分方程式について,研究を行ってきた。実験的には様々な相分離パターンが観測されており,特に生成されるパターンの形状,遷移過程,2種類の高分子の成分比に関する依存性の問題は物理的に重要である。 申請者は1年目の研究で,リスケーリングした方程式において,領域が矩形または円領域の場合には滑らかな極限界面が存在することを示し,さらに定常解の存在およびその安定性を特異摂動法によって示した。 研究の終了年度となる2年目の研究では,前年度の研究結果を発展させ,平面波解を基本パターンとする空間周期パターンが安定であることを数学的に示した。このことは,ブロックコポリマーのメソスコピックなラメラ構造が安定であることを意味している。数値シミュレーションに関しては,2次元問題の基本的なスキームを確立し,計算を行った。 今後の研究の方針としては,異なるパターンの相互作用について,数学と数値シミュレーションの相補的な解析によって研究を進めていく予定である。
|