半正定値計画問題とは、線形の目的関数を線形制約および半正定値制約の下で最小化する問題で、線型計画問題を含む広いクラスの問題である。制御システムの安定性の判定などの問題が半正定値計画問題に帰着でき、また、組合せ最適化問題や統計の推定の分野への応用などにも適用できるなど適用範囲の広い問題である。 この数年、半正定値計画問題を解く枠組みとして内点法が盛んに研究されている。内点法は制約領域内にある最適解に至る中心パスを追跡することによって解に到達する算法である。一回の反復において、線形近似を行い線形システムを解き探索方向を得るのであるが、問題の規模が大きくなるにつれて、全体の計算の中での割合が大きくなり、実際に解くことが困難になる。 このような現象を回避するため、線型システムを直接正確に解くことをせずに共役勾配法などの近似計算を行うことが考えられるが、本研究によって近似計算を用いることとアルゴリズムの収束性が矛盾しないような理論的保証を得ることができた。この方法は、高い精度は要求されないが大規模な問題に対して有効で、組合せ問題の緩和問題などに対して効果的であると思われる。 また、別の手段として、線形近似ではなく多項近似を行うことによる高速化も考えられる。すべての次数について解くべき線形システムの係数行列が等しくなる為、一度の分解で容易に多項近似ができる性質がある。このことを用いて、p次近似を行うことよってp+1次収束を示すことができた。この方法は中小規模だが高い精度が要求される問題に対して有効であると思われる。
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