不安定核と偏極^3Heとの散乱実験からLSポテンシャルの情報を引き出し、その異常性を議論するためには、安定核と偏極^3Heの散乱データと比較する必要がある。しかし、安定核について、該当する研究データは無い。最終目的である不安定核ビームを用いた散乱実験を成功させるためにはまず、安定核ビームを用いた実験的手法を確立せねばならない。 これまでに行ってきた^3ガス標的装置の偏極度を実用レベルに上げる為の装置の改良の成功、及び昨年度大阪大学核物理研究センターで行ったビーム実験により、ガス標的の使用により特有に生ずる諸問題が解決出来たことによって、本年度は偏極^3ガス標的装置を用いたビーム実験を行うことが出来た。 実験は大阪大学核物理研究センターリングサイクロトロン施設で行い、入射エネルギーE=300MeVのαビームを偏極^3Heガス標的装置に照射し、散乱したαビームのエネルギーを高分解能スペクトログラフGrand Raidenを利用して、識別する方法で行った。 実験の結果、6度から10度の範囲で偏極分解能の測定に成功した。
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