研究課題/領域番号 |
11740167
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関川 太郎 東京大学, 物性研究所, 助手 (90282607)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高次高調波 / 内殻励起 / 超高速現象 / 格子緩和 / オージェフリー発光 / フェムト秒 / 緩和過程 |
研究概要 |
今年度は、CsCl結晶の内殻励起に伴う発光(オージェフリー発光)のフェムト秒領域における時間依存性を、発光の二つのピーク波長でSNよく測定した。その結果、高エネルギー側の発光は時間分解能以内で立ち上がるのに対し、低エネルギー側の発光は200fs立ち上がり時間を要することを見いだした。 アルカリハライド結晶では電子格子相互作用が強いので、内殻正孔とフォノンとの相互作用により格子ひずみを起こすと考えられる(自己束縛状態)。同時に価電子帯電子も格子ひずみをともない安定した状態へ緩和する。この時、内殻正孔は、価電子帯電子および格子ひずみを伴った価電子帯電子と輻射再結合することにより消滅する。それが、オージェフリー発光の二つの発光帯に相当する。この様な立場に立つと、低エネルギー側の発光は格子ひずみが起こるまで発光が現れないことになり、発光が現れるのに要する時間は格子ひずみが起こる、つまり、格子振動の周期程度の時間を要することになる。その時間は、200fs秒程度と考えられ、実験結果と良い一致をみた。一方、高エネルギー側の発光は、内殻、価電子帯共にひずむため、内殻正孔生成直後から現れると考えられる。本結果は、内殻励起状態の緩和過程を初めてフェムト秒の時間分解能で観測したものであり、内殻励起においては、内殻正孔のみならず、終状態の価電子帯電子の格子歪みを考慮しなけらばならないことが明らかになった。
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