研究課題/領域番号 |
11740180
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | (財)神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
松田 一成 (財)神奈川科学技術アカデミー, 光極微機能プロジェクト, 研究員 (40311435)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 近接場光学顕微鏡 / 半導体量子ドット / 時間分解分光 / 多体効果 |
研究概要 |
本研究の目的は、近接場光学顕微鏡と極短パルスレーザを組みあわせて新たに極短時間・微少空間分解分光法の手法を開発し、それを用いて半導体ナノ構造中でのキャリア間の相互作用による多体効果について知見を得ることである。本年度は、特に量子ドット内のキャリア間相互作用が現れる位相緩和過程に焦点を絞って研究を行った。 1.まず量子ドット内にキャリアが1個程度存在する状況で、キャリア間の相互作用があまり効かない場合の位相緩和過程を単一量子ドットの発光線幅(均一幅)測定から考察した。その結果、位相緩和過程は、100K程度の温度領域を境にそれより低温では電子-縦型音響フォノン相互作用で決まり、また高温では電子-縦型光学フォノン相互作用が支配的である事がわかった。また、室温において量子ドットサイズと均一幅を詳細に調べたところ、量子ドットサイズが小さくなるほど均一幅が広くなる事がわかった。これは、電子-縦型音響フォノン相互作用がサイズに応じて変化するためである事を明らかにした。 2.次に、量子ドット内にキャリアが多数存在する状況での位相緩和過程を調べた。この場合、量子ドット内にキャリア(電子-正孔対)が3個以上生成され、第一励起状態にキャリアが分布し始めるとキャリア間相互作用が効き始め、その結果位相緩和時間が短くなる事がわかった。このように位相緩和時間が短くなるのは、キャリア間のクーロン相互作用によりオージェ過程が起こるためであると理解される。また、それと同時にバンドギャップリノーマリゼションによって遷移エネルギーの低エネルギーシフトが起こる事がわかった。 また、本研究で開発を行った高感度近接場光学顕微鏡を用いて、量子ドット以外の半導体量子構造においても様々な新しい知見が得られた事を付記しておく。
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